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今回のインタビューはエマニュエル・ムホーさん。
色を大胆に取り入れた建築や空間デザイン、アートなどを手掛けられています。
かみの工作所では「kamikado」をデザインされています。紙の層が創り出すグラデーションが色鮮やかなゲーム製品です。
紙を使った作品も多く手がけるムホーさん、今回のコンペや今後の活動、紙に対する考えなども交えてお話し頂きました。

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手紙を書く習慣はありますか
手書きはすごく大事にしています。大切な人、特別な時には手書きで伝えるようにしていますね。私の日本語の字はきれいな方ではないですが、それでも手書きのほうが気持ちが伝わりますから。
日本では旅行に行くとお土産を買いますよね。フランスに限らずヨーロッパあたりでは旅行にいくと、お土産はあまり買いませんが、旅先からカードを送ります。旅行に行っていることを知らせたり、旅行の感想を家族や友達に伝えます。一言書く程度ですけどね。みんなやっているんじゃないかな、かなり一般的です。
日本のカードは凝っていて美しいですね。ヨーロッパはもっとシンプルです。
ご祝儀袋やポチ袋も日本ならではのものですし、デザインも様々で興味深いです。気に入ると買って集めています。

応募作品のどこに注目しますか
色です。そしてコンセプトですね。
カラフルなものという意味ではなくて、美しい色かどうか。
デザイナーなら1日何十個もきれいなカードをデザインできると思いますが、そういったものではなく、コンセプトが明確でそれが作品に表れているもの。もちろん、オリジナリティーがあるもの。
作品は製品になりますからね、手にとってもらえるように売場で目立つことも大事です。

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紙について思うこと
「100 colors」シリーズを始めた2013年から、(「kamikado」をデザインした年でもあります。)よく紙を使っていますが、当初、紙を選んだ理由は、美しい色が他の素材と比べて、比較的たくさんあったからです。全種類の紙のカタログを集めてばらした上、自分が思う美しいグラデーションをつくろうとしたときに、実際には鮮やかな色数が意外と少ないことに気づいたんですけど・・・。
そして、私の場合、紙を空間という大きいスケールで使っているので、紙のサイズは小さいですね。将来的に、建築を紙で作ることも考えていたりしますが、建築的にみると紙のサイズだけではなく、耐久性、不燃性、防水性など、現実的にはハードルが色々あります。反して、紙の弱さが、紙の良いところでもありますからね。
紙の優しい質感がとても好きです。紙を使ってやりたいことは本当はもっとたくさんあります。

人に作品を伝えることについて
自分の学生にもよく言うのですが、プレゼンは心を込めること。まず、相手のことを考えることが大事。どうすれば相手が喜ぶか。プレゼン資料も、何も考えずにたくさん作るのではなく、コンセプトが一目で明確に、そして魅力的に伝わる「何か」をつくる。プレゼン資料自体も一つのデザインです。相手にずっととっておきたいと思ってもらえる「何か」を心を込めてつくること、ですね。

(聴き手:ペーパーカードコンペ2017事務局)