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今回は先日JAGDA新人賞2017を受賞されたばかりの三澤遥さん。
かみの工作所では1枚の紙を折り重ねると立体的な造形が現れるメッセージカード
Paper Construction」をデザイン頂いています。
グラフィックからプロダクト、空間計画等、分野を限定せずに活動されている三澤さん。
独自の視点で本コンペと紙についてお話しいただきました。

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テーマ「おくるをつくる」について
テーマって大事ですよね。テーマによって応募する方の発想の飛距離が変わってくると思うので、
柔軟な発想が生まれそうなテーマだと思います。
一見やわらかい、ゆるい感じがしますけど、自分のコミュニケーションに対する考え方を試されているような、、挑発的なお題だなとも思います。
この「星空の封筒」(前回の優秀作品)、素敵ですね。人に送りたくなる気持ちがすごくわかります。
私も便箋や封筒を集めるのが大好きでたくさん持っていました。
これも10年後に「これ持ってました」っていう人が現れるものになるような気がします。
素直なアイデアを学生さんが一生懸命検証したことが伝わって、学生さんがとったっていう価値を感じます。
発想やアイデアはデザイナーのものじゃなくて、平等なものだと改めて思います。
このコンペの年齢、性別、プロアマ問わずっていう間口が広いのがいいですね。

ペーパーカードについて
以前かみの工作所でつくらせてもらった「Paper Construction」は、書き手側に
「つくる」要素があると面白いと思いデザインしたカードです。
今回のコンペの趣旨とは異なりますが、カードを送る時の好奇心が高まると良いなと思い
デザインしました。
カードのデザインが書く内容に少なからず影響を与えると感じます。
優しいデザインが柔かい文章を生むような。
デザインにはコミュニケーションを誘導する力があると思っていて、
それが書き手の感情にいい作用を生むといいですね。

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福永紙工 かみの工作所について
社内のみなさん、製造から販売まで色々立場もあるんでしょうけど、デザイナーの意図を優先させてくれる寛容さに驚かされました。
山田社長が最初に「好きなものをつくってください」って笑顔でおっしゃっていて、普段そんなことができる案件はまずないんですが、その言葉どおり本当に自分の好奇心を優先して、好きなものをつくらせてもらって、貴重な場だと実感しました。
紙を愛していて、紙の新しい価値を見出そうとしている。実際にそれができて継続できている会社って稀有だと思います。

紙について思うこと
自分自身は特に領域を設けず活動させて頂いてますが、立場が異なると紙の見方が全然変わるのがすごく面白いなと思いました。
例えば、1mmって建築領域の人だとすごく小さい単位かもしれないけど、グラフィックデザイナーからすると大きい単位で、紙だとかなり厚いんですよね。
目盛りの感度が全然違うんだなと感じます。紙の捉え方も建築の人にはマテリアルで見えていたり、
グラフィックの人だとキャンバス的に見えていたり、だからこそ同じ素材なのに違う視点でプロダクトが生まれて、そこが興味深いです。
紙って弱いですよね。だから守る意識が働いて、優しく扱おうとする。その意識を生むところが紙の魅力ですね。すごく表情豊かで魅力的な、飽きない素材ですね。

(聴き手:ペーパーカードコンペ2017事務局)