ペーパーカードデザインコンペ2015 | かみの工作所

今回、はじめての試みとなる「ペーパーカード」デザインコンペ2015は、平面の紙を立体化する可能性を追求する「かみの工作所」が、次代を担うデザイナーや学生といっしょに、これからの暮らしを立ち上げるペーパーカードをつくることを目的に実施しました。紙を印刷・加工することで、大切な人に気持ちが届く、商品化を前提とした紙製品のデザインを募集した結果、約200の応募が集まりました。審査員による厳正な審査の結果、12点の新しいペーパーカードが選出されました。

グランプリ

ハチジュウハチ

clink clink

八谷英俊/八谷友子

ハチヤヒデトシ/ハチヤトモコ

ガラスのように涼やかな質感の、紙のメッセージボトルです。あなたの気持ちが、時間も距離も越えて届く特別なものだと伝えてくれます。封の仕方やカードの折り方など、立体というテーマがディティールに息吹を与えてくれました。
審査委員長コメント
海からたどり着いたビンの中に手紙がはいっていることを想像させます。トレペを効果的に使い、立体的なボトルを平面的に表現し、中の手紙が印象的に見えるように工夫されています。静かで繊細な完成度の高さが評価されました。

製造方法検討中

優秀賞

製品化

  • 旅の標本カード
  • 旅の標本カード
  • 旅の標本カード
進士 遙

旅の標本カード

進士 遙

シンジ ハルカ

旅に出るとその場の空気を持って帰りたくなったり、目の前にある何気ないものが新鮮に見えたりします。「旅の標本カード」は、その発見や驚きを、標本のようにそのまま閉じ込めて相手に送ることのできるカードです。
審査委員長コメント
旅先で出会う様々なモノを閉じ込め標本のようにして届けるカード。イラストを交えて、使うシーンを説明してあり、その斬新な提案性が高く評価されました。新しい習慣として、どう広めていけるかが課題です。

製品詳細はこちらから
国内外の販売店にて好評販売中

優秀賞

製品化

  • 星空の封筒
  • 星空の封筒
  • 星空の封筒
塚田 萌

星空の封筒

塚田 萌

ツカダ モエ

星空の封筒は都会に住む人に癒しを届けるというコンセプトで作りました。 忙しい毎日を過ごしていても、小さな星の光を見て、心に余裕を作る手助けになったら良いなと思っています。
審査委員長コメント
封筒の中を覗くと星空が広がる。その単純なアイデアを、トレペと黒い紙を使い、的確にシンプルに表現しています。文字を使わずに、封筒の中に宇宙を出現させ、気持ちを伝えることに成功した秀作です。

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国内外の販売店にて好評販売中

審査員賞

萩原 修 賞
コトバ缶
池田 茉莉

コトバ缶

Papermania & ko.

ペーパーマニアアンドコー

贈る言葉を、ぎゅっと詰めこめるカードです。ぺりぺりと開ける間に、手紙を読むワクワクも倍増します。
審査委員コメント
言葉を封じ込めた缶詰。大切なメッセージをしっかりと閉じ込め、もらった人に味わってもらいたいという気持ちが表現されています。
スイッチデザイン 賞
キモチのしゃぼんだま
加藤 彩香

キモチのしゃぼんだま

加藤 彩香

カトウ アヤカ

しゃぼんだまが気持ちを包み込んで、やさしくふわりと相手に届けてくれるペーパーカードです。
審査委員コメント
しゃぼんだまに気持ちを乗せて、ビョーンと伸びる螺旋の動きが楽しく、いつまでも触っていたくなる楽しいカードでした。
寺田 尚樹 賞
夜に届く手紙
小名木 哲

夜に届く手紙

アオミドリ
(小名木 哲・江原 理紗)

アオミドリ(オナギ サトル・エバラ リサ)

真っ白なカードを受け取った時の不思議さと、夜に浮かび上がるメッセージの驚きをデザインしました。
審査委員コメント
蓄光塗料を同色の紙にプリントし、白い紙で覆うという細かなディテールがよく考えられていると思いました。手紙を送る人がみずからメッセージが書ければいいですね。
鈴野 浩一 賞
a innocence dog
菅井 好恵

an innocent dog

菅井 好恵
(TFBファクトリーズ株式会社)

スガイ ヨシエ

書き込んだり、パーツを回転させたり、様々な表情で気持ちを伝えられるペーパーカードです。
審査委員コメント
紙以外にひとつ素材を足し、留め金として動きを出したこと、すべて白く統一して、紙の重なりやエンボスだけで表現したことが良かったです。
三星 安澄 賞
ふつうはがき
神崎 奈津子

ふつうはがき

神崎 奈津子

カンザキ ナツコ

普通はがきをスペシャルにしました。
普通の日に特別な人に送ってほしい。
ふつうはがきで伝える、とくべつ。
審査委員コメント
官製はがきをただひたすら貼り合わせるという考えがとても好きです。元旦にゴムで束ねられてる年賀状を取り出す時の厚みの嬉しさが、一枚で味わえるのがいいですね。
和田 恭侑 賞
紙を織る
KANTARO

紙を織る

KANTARO

カンタロ

織物を織る『織り機』のイメージをそのままカードにしました。 編み模様やドットを作って気持ちを伝えます。
審査委員コメント
紙を編んでメッセージを作ることは大変ですが、手間をかけて思いを込める気持ちが素敵だと思いました。
粟辻 美早 賞
一輪
人見 久美子

ichirin

人見 久美子

ヒトミ クミコ

伝えたい気持ちを  一輪の花に込める つくる人によって ひとつひとつ違う表情になる紙のお花 「 ichirin 」
審査委員コメント
一輪の白い花に小さな優しさを感じます。 そんなさり気ない表現がとても素敵に見えます。 白い花にひと言添えて、気持ちを伝えたいと思う作品でした。
山野 英之 賞
egg
熊谷 英之

Egg

熊谷 英之
(イラスト:熊谷奈保子)

クマガイ ヒデユキ(クマガイ ナホコ)

卵をパカッと割るとトリが飛び出してメッセージを伝えます。
飛び出したトリは卵にのって、ゆ〜らゆら。
審査委員コメント
パキッと開ける時の感触と、中から飛び出す様子と、 飾るまでのアイデアが、シンプルで一貫していて気持ちいい。
宮田 泰地 賞
Peel so good
薄上 紘太郎

Peel so good

薄上 紘太郎

ウスガミ コウタロウ

果物をむくように少しずつ中身が現れるカードです。紙の裏表を一つのかたまりとして立体的に扱いました。
審査委員コメント
少しずつ皮を剥きながら読み進めるカードは心地よい期待感に溢れ、封筒まで楽しいアイデアでまとまっていました。

「ペーパーカード」デザインコンペ2015 の模様はこちらから

「ペーパーカード」デザインコンペ2015は、エントリーから製品化までの模様を「JDN(ジェイディエヌ)/ジャパンデザインネット」さんに取材頂いてます。


紙の可能性を追求する、「かみの工作所」のものづくりにかける想い

「かみの工作所」による初のコンペ開催、「気持ちを伝える」メッセージカード の製品化を目指して

審査員

萩原 修 かみの工作所プロデューサー 審査委員長

萩原 修 かみの工作所プロデューサー 審査委員長 1961年生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。大日本印刷株式会社、リビングデザインセンターOZONE を経て、04 年に独立。「かみの工作所」「コド・モノ・コト」「中央線デザインネットワーク」「国立本店」「西荻紙店」「てぬコレ」「かみみの」など独自のプロジェクトを立ち上げ、育てている。 著書に「9坪の家」「デザインスタンス」などがある。「つくし文具店」店主。株式会社シュウヘンカ代表。明星大学デザイン学部教授。
http://www.shuhenka.net/
参加者へのメッセージ
これまで「かみの工作所」で、多くのデザイナーの試行錯誤を見てきて、デザイナーの数だけ、可能性があることを感じています。今回、はじめてコンペをすることで、どんな新しい発想と才能に出会えるのでしょうか。言葉や絵だけでない、紙という素材を活かしたコミュニケーション。質感、軽さ、薄さといった紙の特質はもちろん、気がつかなかった紙の特徴を活かした気持ちを伝える新しいカードを期待しています。

スイッチデザイン かみの工作所ディレクター

スイッチデザイン かみの工作所ディレクター
大畑友則、瀧ひろみによるデザインユニット。 主にプロダクトデザインを中心に活動をしています。 2014年10月より、三星安澄さんより「かみの工作所のディレクター」を引き継ぐ。
http://s-w-i-t-c-h.com/
参加者へのメッセージ
書いたり、折ったり、穴を開けたり、破ったり、スジを付けたり・・・・。 紙は、印刷以外にも加工でとてもおもしろくなる素材だと再発見しています。 うれしい気持ちや感謝の気持ち、何気ない日常の中で発見した驚きや楽しさ。など どんな気持ちを、どんな紙で表現されるかを見るのを楽しみにしています。

スイッチデザインスイッチデザイン

寺田 尚樹 建築家 「TERADA MOKEI」

寺田 尚樹 建築家 「TERADA MOKEI」
‘89年明治大学建築学科卒業後、‘94年英国建築家協会建築学校(AAスクール)修了。帰国後は建築、インテリア、家具、プロダクト、サイングラフィックなどのデザインのほか、ブランドのプロデュース、ディレクションを行う。 ‘03年 有限会社テラダデザイン一級建築士事務所設立、 ‘11年「テラダモケイ」「15.0%」設立、 ‘13年「寺田模型店」を東京・下北沢に開店、 ‘14年株式会社インターオフィス取締役、 現在 武蔵野美術大学非常勤講師、 グッドデザイン賞など受賞歴多数
http://www.teradadesign.com
http://www.teradamokei.jp/
参加者へのメッセージ
僕は、プロダクトのプロデュースやデザインをする時にテーマとしていつも考えるのが「プレゼント」です。 これをプレゼントしたらあの人は喜んでくれるだろうな、これをプレゼントしてくれる人はステキな人だろうな。 そんなことを想像しながらデザインしています。自分用に買う時も自分にプレゼントって気分で買えるものです。 そして心のこもった「カード」ほど嬉しいプレゼントはないと思うのです。なのでそんな提案を見たいと思います。

寺田 尚樹寺田 尚樹寺田 尚樹

鈴野 浩一 建築家 「空気の器」

鈴野浩一 建築家 「空気の器」
2004年に禿真哉(かむろ しんや)とトラフ建築設計事務所設立。建築の設計をはじめ、ショップのインテリアデザイン、展覧会の会場構成、プロダクトデザイン、空間インスタレーションやムービー制作への参加など多岐に渡り、建築的な思考をベースに取り組んでいる。主な作品に「テンプレート イン クラスカ」「NIKE 1LOVE」「港北の住宅」「空気の器」「ガリバーテーブル」など。
http://torafu.com/
参加者へのメッセージ
「空気の器」を考えてる時、建築や家具とは違い原寸で、その場ですぐ直しながら次々とつくれることにとてもわくわくしました。しばらくして、逆にいえば、紙という身近にある素材で、自分でも作れてしまうものを買ってもらうことの難しさを感じました。実際に紙にふれ、作っていくなかでまず自分がわくわくするような発見をしてください。楽しみにしています。

鈴野 浩一鈴野 浩一鈴野 浩一

三星 安澄 グラフィックデザイナー

三星 安澄 グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナー。1980年東京生まれ。 早稲田大学建築学科卒。在学時より、美術家野老朝雄に師事。 卒業と同時に独立し、08年、三星デザイン設立。 「かみめがね」「ネジフタ」「トータス」などペーパープロダクトを多数製作。 11年に東京杉並区に事務所に併設してペーパープロダクトを専門に扱う「西荻紙店」を開店。 14年まで「かみの工作所」のデザインディレクターを担当。昭和女子大学、桑沢デザイン研究所非常勤講師。
http://www.mitzboshi.com/
参加者へのメッセージ
ディレクターを離れたので少し裏話しをすると、これまで「かみの工作所」で商品開発を行うのは本当に辛く、厳しいミッションでした。「なんか良い」というようなものでは許されない。明らかに今までの紙製品とは違う、何か革新的な、発明品のようなものが「かみの工作所」には求められていたような気がします。切ったり、穴をあけたり、折ったりすることで、今までにはない何ができるか。とてもシンプルな加工ですが、まだ可能性はあると思います。僕はこの想いを大切にして、参加作品を審査したいと思います。たくさんの新しいカードに出会えるのを楽しみにしています。

三星 安澄三星 安澄三星 安澄

和田 恭侑 デザイナー「gu-pa」

和田 恭侑 デザイナー「gu-pa」
1982年生まれ。大阪府出身、千葉県在住。2006年・神戸芸術工科大学プロダクトデザイン学科卒業。2008年・同大学院卒業。2014年・福永紙工株式会社から紙の組み立てキットのブランド「gu-pa(グーパ)」の製品を販売。紙の造形の美しさ、素材としてのおもしろさを目指して作品づくりをおこなう。デザイン制作、販売、ワークショップなどの活動中。
http://www.gu-pa.jp/
参加者へのメッセージ
ペーパークラフト作家として、平面の紙を立体にする仕事をしています。この仕事をするきっかけになったのは平面から立体への変化の面白さ、変化を加える楽しさに魅力を感じたことです。今回のコンペにはまさにそれら要素を持っており、そういった作品の魅力を感じ取れるようにしたいと思っています。いままで自分には考えつかなかったような作品に出会えるかもしれないと思うと、とても楽しみです。

和田 恭侑和田 恭侑和田 恭侑

粟辻 美早 グラフィックデザイナー

粟辻 美早 グラフィックデザイナー
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。CRANBROOK ACADEMY OF ART デザイン科にて修士号取得後、八木保氏に師事。帰国後、株式会社粟辻デザイン設立。ショップ等のブランディングデザインの他、パッケージ、エディトリアルなど、グラフィックデザインを中心に幅広く活動。女子美術大学教授 JAGDA会員 日本タイポグラフィー協会会員
http://www.awatsujidesign.com/
参加者へのメッセージ
パソコンや携帯電話の普及で、紙をつかって気持ちを伝える機会が、とても少なくなりました。手紙に最初の文字を書く時の緊張感。お気に入りのカードを用意した時はなおさらです。嬉しさ、寂しさ、楽しさ、悲しさ、いろいろな気持ちをのせて、人から人へ渡されるカード。紙の特性を追求した新しい可能性のある提案を、楽しみにしています。

粟辻 美早粟辻 美早

山野 英之 グラフィックデザイナー

山野 英之 グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナー。1973年奈良生まれ。デザイン事務所 TAKAIYAMA inc.を主宰。 ロゴマーク、サイン、書籍、広告などのデザインを手がけるほか、「クソバッジ」「B.C.G」な どの活動も行う。
参加者へのメッセージ
紙は使い方によっていろんな表情を持ちます。 身近な素材ですが、まだまだいろいろな可能性があると思います。 素材の特性を生かした、自由で驚きのあるデザインに出会えると嬉しいです。

山野 英之

宮田 泰地 福永紙工 紙工ディレクター

宮田泰地 福永紙工 紙工ディレクター
1982年生まれ。2005年多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン卒業。 同大学プロダクト研究室の副手を経て、2008年より有限会社ザートデザインにて カトラリーやインテリア雑貨などのプロダクトデザインに携わる。 2010年福永紙工株式会社へ入社し、現在に至る。主に構造設計を担当し、製品 開発においてデザイナーのイメージを具現化できる様、日々努めている。
参加者へのメッセージ
手紙を書いたり貰ったりする機会が少なくなっている昨今ですが、心のこもった 手紙やカードを手にした時の、あの柔らかなほっこりとした感覚ってありますよね。 実際に手にするからこそ伝わるその柔らかな感覚を、より膨らませてくれる仕掛け や、 送る側も貰った側も嬉しくなる様な工夫のある素敵なカードに出会えるのを楽しみに しています。

総括

「かみの工作所」のこれまで9年間の活動の中で、様々なデザイナーと多くの商品を生み出してきました。福永紙工という工場の技術を軸に、平面の紙を立体化する楽しさを多くの人と共有してきました。
今回、はじめての試みとなった「ペーパーカード」デザインコンペは、そんな「かみの工作所」の取り組みを、これからの次代を担うデザイナーや学生に広げてみたいと考えました。紙を使ったカードが、世の中にたくさんある中で、「かみの工作所」らしい魅力的で意外性があり、気持ちを伝えるにふさわしいカードを提案してもらいたいと広く呼びかけました。
結果的に、約200の応募が集まりました。どれも様々に考え、工夫をこらしたものであり、そのひとつひとつのデザインのエネルギーを受け止めることは、喜びでもあり、責任も感じました。
審査は、これまで福永紙工と関わりの深いデザイナーが担うことにしました。それぞれの考え方や想いをもちよった審査は、予想以上に難航したとともに、様々議論や視点が飛び交う有意義なものになりました。投票を繰り返し、意見を交換する中で、審査員全員が納得するかたちで、グランプリ1点、優秀賞2点が選ばれ、商品化に向けて動き出しました。
そして、9人の審査員がそれぞれに、自分の責任で、審査員賞を選びました。「かみの工作所」は、来年で10年になります。このコンペをきっかけに、平面の紙を立体化する楽しさがさらに広がっていくことを楽しみにしています。
参加者のみなさん、ありがとうございました。コンペを見守ってくれたみなさん、新しいペーパーカードの完成と、これからの「かみの工作所」の活動を期待してもらえるとうれしいです。


審査委員長 萩原 修

事務局・問合せ先

福永紙工株式会社 「ペーパーカード」デザインコンペ2015係

担当:山田祥子 髙橋里枝

〒190-0022 東京都立川市錦町6-10-4

TEL: 042-526-9215

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